コロナ時代のデータリテラシー

コロナ問題が浮上してから半年以上が経過していますが、相変わらず「感染者数」中心の報道が続いているようです。流行当初からニュースなどでは感染者数ばかりが重視され、死者数や重症者数があまり報じられていませんでした。もう少しきちんと「データ」に立脚して判断すべきなのではないかと思っていましたが、そもそも感染者数や死者数、重症者数の定義が曖昧のようです。(この点は、6月の総会で林会長からも指摘がありました。)

データがあふれている現在、データの読み書き算盤能力と言われるデータリテラシーが疎かにされているような気がしました。そこで、データリテラシーという言葉がふと頭に浮かびネットを覗いてみました。

するとDataversityのサイトの「The Importance of Data Literacy」(https://www.dataversity.net/the-importance-of-data-literacy/#)という記事が目に留まりました。

その中で、MITメディアラボのRahul Bhargava氏とMITデータフェミニズムラボのCatherine D’ignazio氏によるデータリテラシーの定義として、以下の4つが挙げられています。

  • read(読む)
  • work with(使う)
  • analyze(分析する)
  • argue with(データを使って議論する)

Qlik社のMorrow氏によれば「データリテラシーを身に付けていればフェークニュースなど存在しない」ということだそうです。

何れにしても、データを正しく取得し、自らの頭で考え、行動することが、以前にも増して求められているのだと思います。

同ページの「Data Literacy」のリンク先を開くと、元米国国務長官コリン・パウエル氏の「40-70ルール」というルールが載っており(彼の地では有名らしい)、「必要なデータのうち40%に満たないデータで判断するのは無謀だが、70%以上のデータが得られるまで待っているとチャンスを逃す」という説明がありました。まさに、リーダーの決断の難しさを良く表していると思います。今回のコロナ禍でも、支援金をいつ/どのように出すのか、緊急事態宣言をいつ出すのか/出さないのか、同じく何時終了するのか、またGoToキャンペーンの是非などを巡って、様々な議論があり、政治的決断の難しさが顕わになりました。

必要なデータとは何なのか、これまた難しい問題だと思いますが、全てをまな板の上に載せた議論をしたいものです(これもまた、また、難しいことではあると思いますが)

データリテラシーはフロントからバックまで組織の全ての部署で必要となります。いわゆる「データの民主化」が求められるということです。そのためには、データマネジメントがやはり重要になってきます。コロナ禍の今だからこそ基本に立ち返り、データマネジメントに関わる叡智を養いたいものです。

これまでも人類は様々な感染症に苦しめられてきましたが、今回のコロナ禍は、人・モノ・カネ・情報、全てが高度にグローバル化された社会に生じた、現代人にとって未曾有の出来事であると思います。この禍を転じて福と為すべく、この混乱の中から画期的なイノベーションが生まれることを期待しています。

以上