データ品質分科会を続けてきて…

 品質分科会は2013年から開催されていて、DAMA-Jでは最も古い分科会です。よくもまぁ飽きもせず7年もやってきたものだと我ながら感心しています。

 ただ、参加されている方は一部の方ですし、新規入会の方も多くなってきましたので、期変わりのこの時期に改めてこれまでの経緯を含めて、ご紹介をしたいと思います。

 品質分科会は、もともとは第4分科会「意思決定に寄与するデータモデル研究会」の派生分科会として発足しました。                   第4分科会は、経営層が意思決定をするに当たってデータを活用するために必要なデータモデルとは何か?ということを議論・研究する分科会でしたが、そもそも経営層がデータを活用して意思決定をすることが少ない、データ活用するためのデータモデル整備に投資をすることに理解を示さないなどの点が問題で、どのように理解してもらうかというような議論をしていました。

 それはそれで重要な議論ですが、そこに一足飛びに進むことは日本の現状では難しいだろうとの思いもあり、それならまずは経営層にデータ品質問題の認知をしてもらい、品質改善マネジメントからデータマネジメントの機運を作っていけないかということで、データ品質分科会を発足させていただきました。

 品質分科会で、まず最初に取り組んだのは、DMBOKのデータ品質の章を読み込んで、具体的な内容と対比して理解することでした。 DMBOK1のたかだか60ページの読み込みでしたが、抽象的な表現が多いDMBOKの記述は難解で、参加者に一定の理解が得られるのに実に丸3年かかってしまいました。その頃は成果物を産まない地味な分科会ということで不人気分科会でして、2-3名の参加での開催も少なくありませんでした。

 しかし、それでも続けたおかげで記載内容の意味が整理され、各アクティビティで実施すべきことがはっきり見えてきたのだと思いますし、その後のDQワークシートのまとめにも大いに役に立ちました。

 DQワークシートについては、2020-08-03の井桁さんの記事に概要が記載されていますのでここでは割愛しますが、DMBOK2の内容反映まで含めてやはり4年かかってしまったもののデータ品質マネジメントを行う上では初めての具体的資料ができたのではないかと思っています。今後は、このワークシートの使い方を平易にまとめた資料が作れれば良いなと考えています。

 と、これまでの分科会活動を振り返って思うところは、DMBOKはさらっと読めば答えが得られるというものではなくて、活用するには十分な理解や解釈が必要だ、ということです。

 DMBOKで使われる用語やレトリックに含まれる意味は多岐に渡り、具体的な事例でどうしたら良いかと考えた時に有識者でさえ「ケース・バイ・ケース」という回答になることも多いようです。 しかし、それでガッカリしてはいけません。DMBOKで語られていることの本質的でシンプルな意味を解釈し理解できていれば、具体的な課題にぶち当たった時に、その理解を軸にどうすれば良いかの応用が効くと思います。

 このスピードが求められる時代、すぐに役に立つ何かを求められがちですが、しっかりとした知識体系をわが物とするためには「急がば回れ」でDMBOKをしっかり読まれること、読んだ解釈を多くの方と議論して理解することが重要なことだと思います。 DAMAの分科会は、今後もそういったことができる数少ない場でありたいと考えています。

半径2メートル雑感2題

ここ最近の出来事で感じた半径2メートルでの出来事の雑感を書いてみようと思います。

ADMCの字幕付け
今回のADMC2020は、初めてのZoomウェビナーでの開催です。
現在、企画担当理事を中心に鋭意準備をしています。
今回は外国人スピーカーは招聘せず、スピーカーからビデオを事前にいただき。理事で分担して日本語字幕を付けて流す形にしましたので、英語の苦手な方も視聴しやすい形になっていると思います。
とは言え、私は英語がサッパリなので英語堪能な林会長の補助として、会長が翻訳した内容の校正のお手伝いを行いました。担当は欧州・イタリア代表のNinoさんの分担でした。
内容は是非ご参加いただいて視聴いただきたいのですが、欧州では国を超えての活動や交流、研究成果の共有などが活発なようで、アジアとは随分様相が違うなぁと感じた次第。
言語の壁はありますが、今後はAsian Data Management Conference の名に恥じないカンファレンスにしていきたいものです。
近隣の中国、韓国をはじめとして、東南アジアの各国とも連携強化していきたいですね。(その前に英語をなんとかしないとですが…)

ITモダナイゼーションとデータ
縁があって、最近ITモダナイゼーションの仕事をしています。
メインフレームからのOPEN化が主な業務ですが、なかなかに難しく、過去に作りこまれた謎解きに追われています。
そういった中、データの移行や更改などは二の次になっていて、プログラム資産の移行が主題になることが多いなと改めて感じています。
もちろん、言語変換やリビルドはテストも含めて工数もかかりますので、どうしてもそちらがメインテーマになってしまい、データ整備が劣後してしまうのは致し方ないのかもしれません。
しかし、データを見ると様々な過去の残滓が残っていて非効率なことも多々あるので、この際一気にきれいにしてしまおう!とすると追加の費用がかかり、かつプログラムへのインパクトが少なくないということで、データは現在のまま、そーっと新環境にもっていこう、という結論になってしまい勝ちなようです。
システム更改の時期になってしまってから何とかしようとしても、現状ではそれをなんとかするソリューションは無いように思います。
なので、いざシステム更改の時に一番大事な資産であるデータが置いてきぼりにならないように、日頃から少しずつデータマネジメントを進めておく必要があるなぁと今更ながらに感じています。

DAMA日本支部の課題と今後

このブログでは主にデータマネジメントについてのお話が多いのですが、今回は趣向を変えて、当DAMA日本支部の運営のお話をしようと思います。
このブログを読んでくださる会員をはじめとしたみなさんにも、是非この機会に当会の運営や課題について知っていただければと思っています。

日本支部の歩み

2020年7月現在、DAMA日本支部の会員数は現在121名で、法人の会員は13社になっています。
設立時の会員数は100名弱だったのですが、2014年をピークに年々減少し、2017年には75名程度まで減少していました。しかしその後、2代目会長の林さんの下、お試し会員の募集やDMBOK2の日本語版の発刊、DMBOK概説セミナー開催などの積極的な対策を取り、データ活用機運の高まりとともに会員数も回復してきました。
DMBOK2も早々に売り切れて増刷されるなど、今後もデータマネジメントへの関心が高まっていくと思われ、当会もサステナブルな組織運営基盤を作っていく必要があると考えています。

今は任意団体

データマネジメントを日本にも普及・定着させようという意図のもとで設立されたDAMA日本支部ですが、残念ながら未だに任意団体でしかなく、協賛や後援いただいているJDMC様やUMTP様のように一般社団法人やNPOではありません。
任意団体でもできることはたくさんありますし、当面の問題にはなっていないのですが、法人格を持っていないといろいろ不都合なこともありまするようです。
例えば、任意団体では法人としての銀行口座が作れないために会長名義で口座作成せざるを得ず、会長交代時には名義変更が必要になります。
その他にも商標登録しにくいとか、法人によっては任意団体では社内申請が行いにくいなどの弊害もあるようです。
理事会でも一般社団法人化を進めようという話になっていますが、素人が進めるには中々にハードルが高く、遅々として進められていないのが実情です。

これから

CDMPの日本での普及、DMBOK3の日本語化など、これからもパワーを要する課題は山積です。
これまでは、データマネジメントの普及に情熱や志のある現在理事のボランティアシップで支えられてきましたが、いつまでもそこに頼っていては先細りになりかねません。なんといっても理事は現在13名ですが、設立から10年近く経ち、50歳台未満は数名のみと高齢化が進んでいます(失笑) 。
また、広く参加していただくことを目的に当会は会費も低廉に抑えているので、年間予算も十分にあるわけではなく、人を雇って業務依頼するということも困難です。
こういった背景を含めて、待ったなしで今後の運営を検討し、サステナブルな組織にして、 データマネジメントを普及するための DAMA日本支部という組織を成長させていく仕組みが必要だと感じています。

運営を手伝ってあげようというご危篤な方、こうしたらいいのではというご意見のある方、管理担当(admin@dama-japan.org)まで、是非ご連絡をいただけたらと思います。お待ちしています。