アフターコロナ時代だからこそ高まるデータマネジメントの重要性

コロナは我々の行動スタイルを変えてしまった

新型コロナウィルスは、我々のビジネス上や日常生活上の行動を根底から覆してしまいました。ワクチンが開発された後であっても、「仕事をすること=オフィスに行くこと」ではなくなり、これまでのノーマルでは「何はなくとも、定期的にお客様へ訪問営業すること」でしたが、ニューノーマルでは「本当に重要な商談以外は対面ではなく、リモートで済ませたい」となるでしょう。また、「賑わって混雑しているお店でショッピングを楽しむ」というノーマルな日常生活が、ニューノーマルでは「何かあったら怖いので、できるだけ”密”を避けて短時間で済ませたい」という行動を取る人が必ず一定層は残ると思いませんか。

このように、我々の行動が“密”を避け、“疎”を求めるようになると、これまで企業が対人・対面(リアル)で当たり前のようにできていたことができなくなり、自社のお客様とのリレーションシップをよりオンラインで、つまりデータを通じて良好に維持し、他社に奪われないように強固にしなければならない、と気付くと思います。では、ひとたび目を転じて、自社のリアルおよびオンラインにおけるお一人おひとりのお客様とのタッチポイントで発生しているデータが現状どのようになっているか?

多くの企業では、自社の様々なシステムにお客様に関するデータが散在し、相互につながっていなかったり、いちいち個別のシステムの中のデータを調べなければどのような対応履歴があったかを把握できない、そんな状態になっていませんか。お客様やお客様が買ってくださった商品などに関わる基軸データが社内の様々なシステムに分散し、「つながっていないので、行動履歴がバラバラになってしまっている」、「整合性や精度に難があるので、信頼できない」、「社内のどのシステムにどのデータが存在し、それらがどのように連携しているのかが可視化できていない」といった現状に直面する会社がほとんどだと思います。

改めて、データマネジメントの重要性が否応なく高まる

これまでマーケティング、営業・販売、設計・製造、デリバリー、アフターサポートなど、個別部門の業務処理の「電子化」を目的として構築されてきたシステムの中のデータを活用しようとすると、それらを「“疎”を求める自社のお客様との関係性を良好に維持するために活用できる状態」に再編成し直すための取り組み、すなわち、全社的なデータマネジメントが必要不可欠となります。

「情報(データ)は、ヒト、モノ、カネと並ぶ第4の経営資源である」といわれて久しく、昨今では「データは次のオイル」などと喧伝されるようになりました。また、巷ではデジタルトランスフォーメンション(DX)、つまりデジタル(=データ)による自社の事業変革の必要性が叫ばれ、AIやIoTなどの情報技術の進化と浸透によりネットだけでなくリアルの世界でも、ヒトやモノのあらゆる動きが「行動データ」で取得していくことが可能になりましたが、いくら膨大な「行動データ」が取得できたとしても、それらが自社の大切なお客様や商品としっかりつながっていない限り、活用することは決してできません。

データを真のオイルに変えるためには、「それを活用可能な状態に精錬するためのプロセスや体制」や「自社内外のデータ資源の可視化と整備」が重要になることは論を待たず、お客様とのリアルな接点が「疎」に傾倒するアフターコロナ時代だからこそ、データマネジメントの重要さが改めて認識されるでしょう。視界不良な環境であればあるほど、正しいファクト(=データ)に基づいた意思決定を行うべきは、国においても企業においても変わらず、データマネジメントに真摯に向き合う企業、そうした経営者やリーダーがいる企業こそがアフターコロナ時代でもお客様への価値を弛まずに提供し続けられるものと確信します。

DAMA Japan 企画担当理事/株式会社リアライズ 代表取締役社長 大西 浩史