データモデラーのお噺

 前回の私のブログでは、データマネジメントの入り口の提案として、データモデリングをお薦めしました。その際に、データモデリングするに当たっては、有意義なモデルを作れるデータモデラーを確保できるかという点が課題になると述べました。
 それでは、そのデータモデラーの確保について考えてみましょう。皆さんの会社、或いは組織では、データモデラーは確保されていますでしょうか?

 例えば開発案件において、事前にデータモデリングによる現行仕様の、或いは業務の可視化が行われているかと言うと、残念ながら過去に見た多くの例では、殆ど行われていませんでした。
 データモデリングが行われていないところでは、必要だとは聞いていても、それまで行わないで何とかなっているからというのが大きな理由で実施されていません。実際にできていた場合との直接的な比較がないため、隠れた大きな損失に気付かないのです。
 そして決定的な理由は、実際にできる人が居なかったことにより、実践できないままだったのだろうと思います。取り組もうとはしたが、結果的に断念したという話を聞いたことも、少なくありません。

習得の過程

 なにごともそうですが、技術の習得には次のような過程が必要です。

 教育を受けるだけでは、頑張っても2段階目の「基本的な内容がわかる」までであり、実際に「自分で問題無く使える」ようには、なかなかなれません。

 そのような中で、例えば改善の意欲のある若者が、自分が担当するプロジェクトの中で活用してみようとすると、マネージャから「そんなやり方でうまくいくのか?実績や経験があるのか?これで問題が起きたら責任取れるのか?」などと抵抗されてしまうと心が折れてしまいます。そうではなく、既にできている人からの支援を受けながら、繰り返して実践することが必要です。

 前回ブログ冒頭にて日本のどれ位の企業で、データモデリングが行われているのか、という話題を上げました。しかしながら、この点についての答えを持っていません。周辺のモデラーと呼ばれる人たちに聞いても、多くないのでは?という返事しか得られません。

 色々な企業の方と話をする中で、自社にデータモデラーと呼ばれる人は居ない、或いは、かつては居たけど今は居ない、更には、居るのかわからないという声が多く聞かれます。
 前回、データマネジメントに着手する組織を立ち上げられたら、まずはデータカタログの構築に先駆けてデータモデリングを実施するようにお薦めしました。しかしながら、データモデラーが社内に見つからない中、どうすれば良いのでしょうか?

データモデラーの確保

 自社内にデータモデラーが居ないのであれば、呼んで来るか、作るしかありません。
 ●呼んで来るとしたら、何処からでしょうか?
 ●作るとしたらどうやって?
という疑問が出てきます。

 私の勤務先に依頼すれば出てくるかと言われれば、私の他には3人だけしか居ません。親会社である、あのDX企業でも、今では1人だけしか知りません。
 さて、世の中ではどうかというと、このDAMA日本支部の理事にも数名のデータモデラーが居ますし、データモデリングに関する分科会も開催されています。なので、どこに居るか探して確保するとか、社内で育てるのに支援してくれる人を見つけたいなら、相談していただくのも一つかと思います。ただし、特定の誰かを推薦するという立場にある訳でもなく、紹介した人の能力に責任を持てる立場にもありません。

 DAMAのイベントであるADMCでも、スポンサーの方によるライトニングトークの中で「優秀なデータモデラーを絶賛募集中」と宣伝されている企業もありました。

 データに関して、何処にあるのか、どんなデータが有るのかを知っておくためにはデータマネジメントを行う必要があります。そのデータマネジメントを行う重要なピースであるデータモデリングを実践する人が見つからないというのは皮肉な状況にあると思います。

 できることなら、データモデラーが集う場があり、データモデラーを探す企業の人が、適切なモデラーを見つけられるようになればと思っています。いわゆるギルド的な感じのものができると良いのかも知れません。
 場といっても、特にこんな状況なので、オンラインでの場作りを試してみたいと考えています。
 そんな場を一緒に作ろうというモデラーの方、それ以前にでもデータモデラーを探していますという方、モデラーの育成をしたいという方は是非ご連絡ください。よろしくお願いします。