データガバナンスとデータマネジメント

 ガバナンスが「統治」とか「統制」の意味を持つので例えば個人情報の扱いだとか、国、通貨等の標準コードの使用とかについてのルールを守らせることをガバナンスを効かせるという言い方をする。データガバナンスについて書かれたものには、データをマネジメントすることについて書かれたものも多く、ガバナンスに必要な要素が分かりにくくなっている。DMBOK2を見てみよう。この二つの言葉は以下のように表されている。

実際にデータに触れているのは?

 データガバナンスとは「正しいことを行う(Do the right things)」ことであり、データマネジメントとは「正しくことを行う(Do things right)」ことである(Ladley, 2012)。p607

 監査人は財務プロセスを統制するが実際には財務管理をしていないのと同様に、データガバナンスはデータが適切にマネジメントされるようにすることであって、データマネジメントを直接実施するわけではない。(図15参照)。p99

 データガバナンス:データを適切にマネジメントさせること

 データマネジメント:ゴールに到達するためにデータを管理すること p100

実際にデータを管理しているのはデータマネジメント側である。

データガバナンスは何故必要か

 正式なデータマネジメント機能を持っているかどうかにかかわらず、組織というものはデータに関する何らかの意思決定をしている。正式なデータガバナンス・プログラムが導入されれば、より明確な意図のもとに職務権限と統制を行使できるようになる。p94

データガバナンスは現場で行われているデータマネジメントを、組織の正式な取組に引き上げる。

データを資産として管理するための原則、ポリシー、プロセス、フレームワーク、評価指標を提供し、組織の各階層レベルでデータマネジメントプログラムを牽引する。 p98

 データアナリティクスからビジネスの価値を得る取組を見出したり、デジタルトランスフォーメーションに対応していくためには、その土台としてDAMAホイールに記載されている領域を中心としたデータマネジメントの実践が前提となる。実際行われてはいるが組織間でばらつきのあるデータマネジメントの取組みを一定のレベルまで引き上げ、さらにビジネスの目的に沿うレベルまで到達するには地道な取り組みと時間が必要だ。この取り組みをトップがコミットして組織横断で進めることがデータガバナンスである。

 DMBOK2では第3章でデータガバナンスについて包括的にまとめ、各章の後半ではそのデータマネジメント領域でのガバナンスの取組みに触れている。この総体がデータガバナンスということになる。ちょっとまとめづらい構成になっているけど第3章に加え、取り組み優先順位の高いデータマネジメント領域の章を合わせて是非読み進んでいただければと思います!

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