データに騙されない!?

はじめに

既に1年以上前となりますが、私はDMBOK2 第2章「データ倫理」に関して、このブログに投稿したことがあります。そこで「データで騙した例、騙された例など機会があれば紹介したい」という主旨のことを最後に書きました。今回はその例をいくつか紹介してみたいと思います。

母数に注意

現在の新型コロナの感染者数は若年層が多いと言われていますが、第一波のころには「どの年代でも平均的に感染している」という報道がありました。その頃に提供されたデータが以下となります(リンク先を参考にグラフは独自に作成)。

確かにどの年代でも平均しているように見えますが、もともと東京都は20代の人口が少ないはずです。そこで10万人あたりの感染者数にしてみると以下のようになります(独自に集計)。

こう見ると、明らかに若年層の方が感染者数が多いように見えます。なので「どの年代も平均して~」という報道には疑問も感じます。
実は「10万人あたり~」を棒グラフにしたのは、円グラフよりも差が際立つからであり、このようにグラフを使い分けることもデータを扱う上でのテクニックであり、”騙すこと”ともいえます。

コロナの感染者数はあくまでも例であり、例えば国ごとのオリンピックでのメダル数ランキングも「人口当たり」にすると、かなり違う見え方になるでしょう。また、出身都道府県別総理大臣数は山口県が東京都の次に多いらしいですが、人口あたりにすると山口県が圧倒的に多くなります。

このように、母数を意識した観点も忘れてはならないでしょう。

単位に注意

Cloud時代になりメインフレームの需要は減退していると言われています。IT系の記事でこれを証明するべく「メインフレームの出荷台数推移」なるもが紹介され、出荷台数が激減しているということが示されています。
しかし、メインフレームは1台の処理能力は飛躍的に向上しており、20台以上のメインフレームを1台に集約するような事例もあります。単純に出荷台数で評価することが正しいかは疑問があります。
例えば、あるベンダーでは「メインフレームの出荷処理性能」が10年間で3倍以上になっていることを公表しています。これは、価格性能比も3倍以上になっているでしょうから、素直に、メインフレームがまだ成長している、という評価はできないでしょう。
「出荷台数」「出荷処理能力」「出荷額」など単位が異なると評価が変わります。
この例にかかわらず、データを扱う際にその単位にも気を付けた方が良いでしょう。「xx茶は2lボトルより、500mlの方が売れている」というような場合も、それが、本数比較なのか、価格比較なのか、容量比較なのか、ハッキリしないと評価が難しいですね。

その他の例

その他にもたくさん例があるのですが、長くなるので、箇条書きで紹介します。

◇ 母集団特性に注意・・「部門別TOEIC点数ランキング」で「国際部が1位」
→国際部ですから、当然の結果で意味のない評価とも言えます。

◇ 不要な過去情報・・「これまでxxx円を投資したので、今更このプロジェクトはやめられない」「せっかく30分待ったから、もうちょっとタクシーを待ってみよう」→いずれも過去情報は今後の判断に影響しないはずです。

◇ 不要な追加情報・・最高気温の統計分析に「湿度情報」→ 正確な分析に影響?
◇ 無意味な平均・・「平均貯蓄額」→ 一部の資産家の影響大
◇ 言葉の定義・・「国別暴力事件の発生件数」・・暴力事件の定義が国により異なる


この話題、いくらでもお話できそうですが、今回はここまでにさせていただきます。興味のある方は是非DMBOK2 第2章を読んでください。

「DMBOK2概説セミナー」の紹介

はじめに

DAMA日本支部では年に3回程度「DMBOK2概説セミナー」を開催しています。今回は宣伝も兼ねてそのセミナーの全体像を紹介させていただきます。

開催のきっかけ

DMBOK (Data Management Body Of Knowledge)の第2版(以下、DMBOK2) は2017年に英語版が2018年12月に日本語が発売となりました。日本語版の翻訳作業はMetafind社とともに DAMA日本支部も担当しています。
そこでDAMA日本支部としては、このDMBOK2を普及させ、これをきっかけにDAMA日本支部の会員増加にもつなげたいとの思いがありました。その施策のひとつが「DMBOK2概説セミナーの開催」となり、2019年3月から開始しています。

開催方法・開催内容

1回の開催は18:00~概ね2時間、毎回2テーマを取り上げています。第3回までは集合研修、第4回以降はオンライン開催となっています。これまで以下のように8回開催しています。
原則3月、6月、9月の開催を基本としていますが、2020年は3月開催の直前中止、オンライン開催への切り替えなどがあり、変則的になりました。

第1回 2019.03.05 「DMBOK2 全体概要」「第1章 データマネジメント
第2回 2019.06.18  第1回と同内容
第3回 2019.09.04 「第3章データガバナンス」「第12章 メタデータ管理」
第4回 2020.07.28 「第4章 データアーキテクチャ」「第13章 データ品質

第5回 2020.09.14  第3回と同内容
第6回 2021.03.15  第1回、第2回とほぼ同内容

第7回 2021.06.23 「第5章 データモデリング~」「第8章 データ統合~」
第8回 2021.09.15  第4回と同内容

アンケート結果

このセミナーへの参加者には毎回アンケートをお願いしています。その設問の1つに以下があります。
「セミナーの継続開催を希望する場合、ご希望のテーマを教えてください(複数選択)」
過去8回分の結果を積み重ねると以下のようになりました。

これまで、このアンケートをもとに、希望者の多いテーマを取り上げてきました。今後も希望者が多くかつまだ開催していないテーマを中心に開催を継続する予定です。

参加方法

開催の1か月程度前にはDAMA日本支部のホームページに掲載しますので、そこから申し込んでください。当初はDAMA日本支部の会員以外は有料でしたが、第4回以降、オンライン開催に切り替えたのをきっかけに全員無料での参加が可能となっています。

またDAMA日本支部の会員の方には、講義録画を無料で公開しております。過去のセミナーに参加できず、過去のセミナーを視聴したいという非会員の方は、これを機に入会をご検討いただければ幸いです。

今後の予定

詳細は未定ですが、次回は2022年の2月か3月にこれまで取り上げた実績のないテーマでの開催を検討しています。また、過去開催分の無料視聴会なども検討したいと思います。

データマネジメントの学び方 ~海外コンテンツ活用例~

今回はデータマネジメントの学び方の1つとして、DATAVERSITYの活用例を紹介したいと思います。

DATAVERSITYに関してはDAMA日本支部公式ブログの過去記事(座学でデータマネジメントを学ぶには)でも紹介されておりますので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、データおよびデータマネジメントに関して幅広く情報が集約されている、Webベースの教育プラットフォームです。

有償で学ぶことができるトレーニングメニューに加えて、無償でも参照可能なブログやWebinarが多数公開されています。

DATAVERSITYhttps://www.dataversity.net/

この教育プラットフォームは英語で掲載されているため少しハードルが高いなと感じられている方のために、私が実際に参照してみてよいなと思った無償で閲覧できるWebinarを1つご紹介させていただきたいと思います。

DAS Webinar: Data Quality Best Practice

上記のWebinarはタイトルの通りデータ品質のベストプラクティスについて学ぶことができるWebinarです。例えば次のような要素について学ぶことができます。

  • データ品質の向上におけるビジネスルールの重要な役割
  • データ品質においてなぜビジネスルールの厳格化が重要なのか
  • データ品質の継続的改善に向けた4ステップ

データ品質に取り組む際、Null値の割合や、最大値、最小値などテクニカルな側面のアプローチに偏ることなく、ビジネスルールに主眼を置いて取り組むことの重要性について学ぶことができます。

データ品質とビジネス上のROIがどのような関係にあるのかについては、その説明に苦労されている方も多いと思いますが、具体的なユースケースも踏まえて学ぶことができるコンテンツになっていますので、データ品質の取り組みを自社内で推進していきたいと考えられている皆様の活動のヒントとしてもお役に立つ内容になっているのではないかと思います。

DMBOK2に加えて、こうしたWebinarで得られる事例や実践的な情報をかけ合わせていくことで、自社におけるデータマネジメント推進のヒントを一つでも多くつかんでいただければ幸いです。

DMBoK2の歩き方とデータガバナンスの位置付けを考える

筆者もDama-Jで設けられている各種分科会に参加している中で、最近新しく分科会参加してくる方々(主にベンダーやコンサルタント系)から出てくる参加理由として「仕事で出会うユーザ企業の人々が「データマネジメント知識体系ガイド(第2版)」(DMBoK2)を見ていて、自分たちもしっかり勉強しておく必要性を感じたため」という意見を聞くことが多くなっています。データをビジネス資産として扱おうという企業活動からすると、これは当然の流れであり筆者も喜ばしい傾向と捉えています。しかしDMBoK2そのものは知識領域を網羅的に解説した内容であり、初学者が手軽にその内容を理解するのに抵抗を感じるという読者意見も少なくありませんでした。

そこで今回の記事では、分科会活動へ参加する中で筆者が整理した、DMBoK2で説明しているデータマネジメントの全体像をビジュアルな形で理解を進めるための地図「データマネジメント歩き方マップ」について簡単に紹介し、一つの知識領域である「データガバナンス」の位置付けに目を通したいと考えます。(この「DM歩き方マップ」についてはEDW2020のビデオパック講演として筆者が紹介したものです(※1)。日本語版/英語版あり)

データマネジメントを具体的なものとして捉えるためには、それを構成する知識領域(機能構成)を個別に学習するだけでは不十分であり、それら知識領域の全体像(関連性)を理解する必要があるということが筆者の考え方です。この全体像を捉え、しかも個々の要素も見落とさずに眺めることができるようにしたいというのが筆者の目標であり、それを具体的に表現する形として作成したのが、この「DM歩き方マップ」でした(図1)。

図 1 DMBoK2 データマネジメント歩き方マップ 1.8版と知識領域対応図 (※2)

今やスマートフォン/PCの日常的利用の中で、地図を活用できることの便利さを否定する人は余りいないと思われます。それと同様にデータマネジメント(DM)という難題に取り組み、理解を共通化するためには、視覚的見方を可能とするDM地図が必要です。これを利用することでDMBoK2の知識領域(機能分野)の関連性理解を深めることができます。

(ここでは紙面の都合上、細かい議論には入りません)

図1は、機能分野の外部的関連性を表していますが、それに加えて各分野の直接の参照関係を表現したものが、参照関係図です(図2)。ここでは12の知識領域に加えて、他の5つの章を加えた合計17の章立ての内部関係性を表しています。参照関係は方向性(矢印の向き及び色使い)と関係の強さ(矢印線の太さ)で示しています。この図(DM歩き方マップ2)を参照することで、DMBoK2を読み解く上での章間の流れを離散的に推し量ることができます。

図 2 DMBoK2 各章の記事参照関係図(DM歩き方マップ2) (※2)

これらのマップ利用の例として、DMを考える読者の多くに感心の高いと考えられる、第3章「データガバナンス」を取り上げてみます。図1からデータガバナンス領域は各知識領域へ繋がる起点の話題であることが分かります。それと同時にDM活動を考える上での1.ビジネス戦略、2.EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)戦略、3.データ戦略といったビジネス活動に直結する戦略領域の話題はDM活動に対する入力となっていることを確認できます。つまり企業活動の上で、DMを推進することは目的ではなく手段であると改めて視覚的に説明できます。ビジネス目標を達成する、データ資産化を実現するために何をしたら良いかと考えてゆくことが、DM活動の方向性であるといえます。それであるからこそ、スポンサー、経営者も本気で取り組むべき話題であると捉えることができます。

(少し話が逸れますが、2年位前のIT領域に関わる記事で大手企業(複数)役員が「CIOは貧乏くじ」という発言をしたのを取り上げていました。そういう企業ではいつまで経っても、システムトラブルが絶えることはなく、システム関係者こそ被害者意識を持ちながら鬱々とした日々の仕事生活を送っているだろうと想像したことを思い出しました。)

マップ2から見ると、データガバナンス領域(第3章/DG)の延長として第15章、16章、17章が構成されていることが確認できます。DGを多く参照しているのは、参照データとマスタデータ(第10章)、データ品質(第13章)で、他の章からの参照も幾つか存在します。第3章はデータ品質を高め・維持に関する組織立て、基本的プロセスの考え方を説明しています。これを踏まえて各機能領域での具体的なDG活動は、それぞれの領域内に含まれるという構成で読み進めることがDMBoK2データガバナンス理解の道筋となります。

DMBoK2でのDM知識領域解説は網羅的な形であり、一部を除いて余り役割階層的、また時間軸的な説明を区別したものとはなっていないと見ることができます。それが、DMBoK2を頭から順番に読了しようとして読者が躓く一つの要因であると、筆者には考えられます。DM歩き方マップで見る景色は、実際には時間軸(ロードマップ要素)、整合性を踏まえた関係者の役割軸を意識する必要があります。データガバナンス要素を含めて、DM活動は組織としての継続的で総合的な有機的活動とすることが必要です(図3)。個人の努力に依存する形では、決してDM活動の理想に到達できないものと筆者は捉えています。人材の流動化が益々想定される社会では、確固として継続的なデータマネジメント活動の意味が大きなものとなることでしょう。

図 3 DMBoK2 を基本にしたデータマネジメント知識領域全体像 (※2)

組織的活動としてのデータマネジメントを成功させるために、DMBoK2で議論されているエッセンスが広く多くの立場の方々に理解され、納得性のある当たり前の活動として実践されることを期待しています。

尚、本記事で紹介したDM歩き方マップ等に関心のある方は、筆者に照会頂ければ資料ご案内します。問合せ下さい。

(メール: minoru.nakaoka(a)infolabyouyou.com メール発信時は、(a)部分をアットマークに変更下さい)

※1 EDW(Enterprise Data World)カンファレス2020は、当初3月にカリフォルニア、サンディエゴ市で開催予定されていたが、コロナ窩話題により集合形式実施は中止された。その際、主催者からの照会によりビデオ録画形式での実施参加問合せを受け、筆者はビデオパック向けの講演参加を行った(60セッション強のセッション参加あり)。

演題 “Walking Map of DMBOK2 : A Bird’s-Eye View to the Data Management World”

※2 図は何れも筆者のEDW2020 ビデオ講演で利用したものを抜粋している。(日本語表現に訂正して掲載)

[投稿者]中岡 実(インフオラボ游悠 代表/データマネジメントコンサルタント、ITコーディネータ、PMP、認定心理士)

データ管理は「集中」「分散」「ハイブリッド」

はじめに

このブログのタイトルを見て何を思い浮かべましたでしょうか? データガバナンス? メタデータ管理? マスターデータ管理? その他?
そのどれも正しいです。
DAMAの分科会でメタデータ管理がテーマの時に「メタデータ管理のアーキテクチャには、集中型、分散型、ハイブリッド型、双方向がある」と説明を受け、私は「どこかで聞いたことがあるな?」と思いました。
調べてみると同じような概念がDMBOKの各所にありました。
どこにその記述があるか? 全て解説を加えたいところですが、相当量になってしまいますので、今回は解説なしで項目だけ紹介してみます。

第3章 データガバナンス
データガバナンスのオペレーティングモデルタイプには以下の3種類があると説明されています。

  • 中央型 (集中型?)
  • 複製型 (分散型?)
  • 連邦型 (ハイブリッド型?)


第6章 データストレージとオペレーション
データベースアーキテクチャの種類には以下の3種類があると説明されています。

  • 集中型データベース
  • 分散型データベース
  • 連邦型データベース


第10章 参照データとマスターデータ
参照データとマスターデータの統合の基本的なアーキテクチャアプローチとして、以下の3種類があると説明されています。「集中」「分散」「ハイブリッド」とは異なるように聞こえますが、発想は類似しています。

  • レジストリ      (発想は分散型です)
  • トランザクションハブ (集中型です)
  • 統合アプローチ    (上記2つのハイブリッドと説明されています)


第12章 メタデータ管理
メタデータアーキテクチャの種類として、以下の4種類があると説明されています。

  • 集中型メタデータアーキテクチャ
  • 分散型メタデータアーキテクチャ
  • ハイブリッド型メタデータアーキテクチャ
  • 双方向メタデータアーキテクチャ


第16章 データマネジメント組織と役割期待
データマネジメントのオペレーティングモデルとして以下の5種類が説明されています。ネットワーク型と連邦型も広い意味でハイブリッド型と言って良いと思います。

  • 地方分権型オペレーティングモデル (分散型)
  • ネットワーク型オペレーティングモデル
  • 中央集権型オペレーティングモデル (集中型)
  • ハイブリッド型オペレーティングモデル
  • 連邦型オペレーティングモデル

本日は説明しませんが、どの集中型、分散型にも概ね同じようなメリットとデメリットがあり、その折衷案がハイブリッド型というのも概ね同じようです。

「だからどうした?」という話かもしれませんが、皆さんが今後DMBOK2 を読む際にちょっと頭の片隅に置いていただいても良いかと思います。

データドリブン経営とデータマネジメントの関係性

はじめに

今回はデータマネジメントとデータドリブン経営の関係性を考察してみたいと思います。

皆さんはデータマネジメントとデータドリブン経営にはどのような関係性があると考えますでしょうか。何となく関係がありそうではあるが、どう説明してよいか迷うなぁ。という感想を多くの方が抱くのではないかと想像しています。

今回ブログ執筆の機会をいただきましたので、皆さんと一緒に考えるひとつのきっかけになればと思い、どのような関係性があるかを私なりに考えてみました。

データマネジメントフレームワークとしてのDAMAホイール図

考えるに際し、まず最初にデータマネジメントに求められる知識領域を定めたDAMAホイール図をご紹介します。

(図1)

この図1はDMBOK2の第1章に記載されているデータマネジメントの知識領域を定義する「DAMAホイール図」と呼ばれる図です。


DMBOK2は17章構成で記述されており、各種のフレームワークを定義していますが、データマネジメント知識領域をもっとも良く表している図がこのDAMAホイール図です。

DAMAホイール図は中心にデータガバナンスが置かれ、各知識領域は成熟したデータマネジメントに必要な機能を示しています。

このホイール(Wheel)という言葉ですが日本語に訳すと「車輪」にあたりますが、 タイヤに例えると次のようなイメージ(図2)になるのではと思います。

(図2)

 

データドリブン経営とデータマネジメントの関係

次にデータドリブン経営という言葉をみていきたいと思います。

データドリブン経営とはシンプルに言えば従来型のKKD(勘と経験と度胸)に頼った意思決定から、データに基づいた経営的な意思決定にシフトすることと、定義できるのではと考えます。

また、データドリブン(DataDriven)を日本語に訳すと「データ駆動」にあたりますが、データを動力源(燃料)として、いかに迅速に経営的な意思決定を行うことができるかが 多くの企業の関心ごとにもなっています。

このデータドリブン経営をビジネスゴールに向かって進む車の運転に例えた場合、 その安全・安心・快適なドライブを下支えする車輪の位置づけとして、DAMAホイール (=データマネジメントの知識定義)が存在するのではと考えます。(図3)

普段、車の運転をしている際は目にすることがないため、ホイールの存在を意識することは稀ですが、非常に重要な役割を担っていることは車を例にすると想像いただけるのではないかと思います。

(図3)安全・安心・快適なドライブを下支えする車輪


現在、コロナ禍で私たちを取り巻く環境は急激かつ大きく変化してきています。このビジネス変化のスピードに追随してドライブしていくためにも、足元を支える車輪としてのDAMAホイールの内容を理解することはきっと皆さんのお役に立つものと考えます。

皆さんの所属する企業、または提案先、支援先の顧客は期待するスピードでデータドリブン経営を実現できておりますでしょうか。また、その足元を支えるデータマネジメントに関する取り組みはどのような状況でしょうか。

経営から思ったようなスピードが出ていない。間違った意思決定をしていないか不安だという言葉が聞こえたら、一度、DAMAホイール図を参考に自社の取り組みを点検いただくのも一案かもしれません。

ひょっとしたら、(図4)のようにデータマネジメントに関する考慮が欠けていて、多角形の車輪で走っていることに起因し、データドリブン経営が思うようなスピードで進んでいないのかもしれません。

(図4)



おわりに

データマネジメント知識領域を抑え、自社のデータドリブン経営のスピードを阻害している要因(車輪の不備部分)を見つけ、地道に1つずつ改善を積み上げていける企業こそが、真にデータドリブン経営を実践する企業に進化できるのではないかと私は考えます。

DMBOK2の11の知識領域にどういった内容があるのか俯瞰して学びたい皆さん、ぜひ、DAMA-Jの活動を体験してみてください。

一緒に意見交換できることを楽しみにしております。

座学でデータマネジメントを学ぶには

データ利活用を推進するために、データマネジメントやデータガバナンスに関心を持つ組織が増えています。それとともに、組織内にデータマネジメントの知見が無いため、まずは一般的な教育を受けるところからはじめたい、という方も増えてきています。
効率的に自社に必要な知識を学び、同時に組織内のデータマネジメントを実践するには、外部の専門家に入ってもらい、プロジェクト化するのが手っ取り早いでしょう。今後組織のデータマネジメントの中核を担うメンバにもプロジェクトに参加してもらい、OJTで手を動かしながら学んでいくやり方です。
ただ組織が必要とする特定のデータマネジメントの専門家を見つけられない場合、独力で座学で学んでいくことも必要です。

座学でデータマネジメントを学ぶ3つのステップ

私はデータマネジメントについてわからないことがあると、次のようなステップで調べ、学んでいます。

その1 DMBOKで基本に立ち返る

なにかわからないことがあれば、まずはDMBOKを開いています。
データマネジメント知識体系ガイド 第二版
https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/18/270160/

翻訳メンバだったこともあり、英語原本も日本語版ももうすでに何度となく読んでいます。ですが新たに経験した現場の成果物や組織体制を踏まえて読み返すたびに、「この成果物や考え方は別の場面にも適用できるな」などと、新しい気づきが得られます。
データマネジメント未経験者の方も、DMBOKを何度も読み返せば、全般的な知識を学べるはずです。
ただし、DMBOKは日本語版の本文だけでもおよそ650ページあり、また具体的な成果物やルールの記述が少ないため、ひとりで最初から最後まで通して読み切るには、なかなか歯ごたえがあります。
おそらく英語圏でも同じような悩みがあるのでしょう。DMBOKの出版責任者の方が、DMBOKの概説書を英語で出版されています。英語が堪能な方は、まずはこちらを読み込み、より深く学ぶときにDMBOK本体にあたられるといいかもしれません。
Navigating the Labyrinth: An Executive Guide to Data Management
https://technicspub.com/dmbok/

その2 WEB教育プラットフォームで最新情報を押さえる

現在のDMBOK第2版の英語原本が出版されてから、すでに3年が経過しています。データマネジメントも、新しい技法や考え方が出てきています。
私はこうした情報を、WEBの教育プラットフォームのコースや解説記事を通じて仕入れています。特に、毎年DAMA-Internationalと国際的なデータマネジメントカンファレンスEDW(Enterprise Data World)を開催しているDataversityのサイトは頻繁に巡回しています。
Dataversity
https://www.dataversity.net/

有料のトレーニングコースもありますが、その時々のデータマネジメントやガバナンスのトレンドを押さえるのであれば、Webinarをチェックすれば十分でしょう。(https://www.dataversity.net/category/education/webinars/upcoming-webinars/
ここでWebinarを開催しているDMBOKの著者もいます。彼らのWebinarではDMBOKには載せていなかった事例や成果物イメージを確認できることもあるので、おすすめです。

その3 SNSで疑問を直接専門家にぶつける

書籍やWebinarの疑問は、著者または講演者本人にSNSを通じて質問します。海外、特にアメリカの著名なデータマネジメント専門家の多くが、LinkedinかTwitterのアカウントを持っていて、直接コンタクトを取ることができます。
またLinkedinではグループ機能で専門家を中心にディスカッションが行われているので、参加してみるとおもしろいでしょう。

日本語で学ぶならまずはDAMA日本支部へ

上記以外に日常的に参照している書籍やサイトもありますが、だいたいなにか知りたいことがあると、この3ステップのどこかで解消されます。
また書籍代以外は基本無料なので、金銭コストを避けたい学生や若手の方にもおすすめです。ご参考ください。
ただ、その2もその3もそれなりの英語力が必要になります。
やはり語学のハードルは高い、日本語で幅広く学びたい、という方はDAMA日本支部にご参加ください。
テーマ別の分科会だけでなく、最近では2~3ヵ月に一度DMBOKの概説セミナも実施しています。また国内の専門家が所属しているので、分科会/セミナの場で直接質問をぶつけてみてはいかがでしょうか?

DMBOK第2版 第2章 「データ取扱倫理」は読む価値があるのか!?

DMBOK第2版では第1版からいくつかの章が追加されているが、その中の一つで際立っているのが「第2章 データ取扱倫理」である。この章は、データセキュリティ以前にデータマネジメントを行う上で守るべき倫理的概念や、非倫理的データの扱いの例が説明されており、 GDPR (General Data Protection Regulation: EU一般データ保護規則) をはじめとする各国の関連する法律にも言及している。
知識領域でもなく、新しい概念でもない、他とは異彩を放つ第2章。この章が追加された意義は何なのか、筆者の考えを述べたい。

第2章は データマネジメント会員規約?

いきなり話が変わるが、例えば皆さんが何らかのクラブ有料会員になる時にどのようなステップを踏むであろう? 通常は

 1.クラブ有料会員の概要を説明資料等で理解する
 2.会員申請し承認を得る。
  その際に「会員規約を読み、同意するサインを行う」
 3.会員として参加する

であろう。ところで皆さんは「同意するサインを行う」際にちゃんと会員規約を読んでいるであろうか?
多くの人は何も読まずにサイン(チェックボックスにチェック)してしまうのではないだろうか?

ところがこれが会員規約ではなく、数百億円の契約書の「契約条件」の場合はどうであろうか?おそらく目を皿のようにして確認するのではないか?

筆者はDMBOK 第2版 の「第2章 データ取扱倫理」はデータマネジメントにおける「会員規約」もしくは「契約条件」にあたるものと理解している。すなわち

 1.第1章でデータマネジメント概要を理解する
 2.第2章でデータマネジメントの「会員規約/契約条件」を理解する
 3.その上で、第3章以降のデータマネジメントを実践する

第2章を読む必要性

筆者の理解が正しいとすると、追加になったこの第2章を読む必要はあるのだろうか?それは以下のように考える

 1) データマネジメントを学びたい、DMBOKを理解したい
  → 第2章は無理して読む必要はない。
   先に第3章以降の興味のある章を読むべし≒「会員規約」
 2) データマネジメント組織を創りDMBOKベースでデータマネジメントを
  実践したい
  →第2章はしっかり読むべし≒「契約条件」

このように考えると、この章が最終章ではなく、第2章に位置付けられている意味も理解できる気がする。

それでも第2章は興味深い

上記の 1) の場合は「無理して読む必要はない」と言いながら、ひとこと付け加えさせていただくと、この章に書いてあることが決して面白くないという意味ではない。むしろ、この章にはデータマネジメントにとどまらず、一般的な話として興味深い内容が盛りだくさんとも言える。特に「3.4 非倫理的なデータ取扱業務のリスク」に関しては、非倫理的なデータ取扱の例が記載されており、自分自身が「あの時はデータに騙されてしまった!」や、逆に「あの時は、ちょっと悪さをして騙そうとしてしまったなあ」といった苦い思い出が蘇ってきたりもする。
この話はまた機会があればお伝えしたいと思う。

「DAMA日本支部 第9分科会=DMBOK勉強会=の紹介」

DAMA日本支部ではいくつかの分科会活動を行っている。そのうち筆者が担当しているのが第9分科会である。今回はこの場をお借りして簡単に第9分科会の紹介をさせていただきたい。既に当分科会に参加いただいている方やDAMA日本支部の総会に参加いただいた方には既知の情報ばかりになってしまうことをご容赦願いたい。

第9分科会はDMBOKの勉強会

DAMA日本支部のホームページでは「DMBOKに関する研究会」とも紹介されているが、簡単に言えば単なる勉強会である。概ね以下の方針で運営している。
・開催頻度・時間: 3か月に2回程度、各回は概ね90分
・開催場所:    都内+リモート接続 但し今年度からはリモート接続のみ
・内容:      毎回DMBOKの1章分を代表者が説明しディスカッション
・説明担当者:   分科会参加者のボランティア
DMBOK2は全17章あるので、全章の勉強を完了するのには2年以上を要する。

第9分科会は広く浅く 説明担当はボランティア

他の分科会が一つのテーマを掘り下げているのに対して、当分科会はその全く反対であり、DMBOK全体を広く浅く理解しようというアプローチである。
説明担当者もその道の専門家を招くわけでもなく、分科会参加メンバーが自分の得意分野もしくは自分の興味のある分野を自ら勉強して担当する。説明担当者は完全なるボランティアであり、自分で説明資料も作成するので、それなりの負担にはなる。説明担当者にはならずに、ディスカッションに加わるだけの参加方法も可能としている。だが、説明担当になることで、その章に関する理解がより深まるというメリットもあり、多くの参加者が説明担当に挑戦している。

既に2周りして3周目!

 1周目 DMBOK 第1版 2015.10~2017.07
 2周目 DMBOK 第2版 2017.12~2020.04

実はこの分科会の歴史は短くない。2015年の10月にDMBOK第1版の勉強会が始まり、2017年5月には第1版全章の勉強会が完了した。その後第2版の英語版が発売され、2017年12月からは第2版の勉強会として再開、本年4月に全17章の勉強会を完了したところである。この途中には第2版の日本語版も発売されている。これでこの分科会の活動は一旦終了したが、その後も継続の要望が強くその継続方法に関しては大きく以下の3つの意見に分かれた
 1) データ管理って何?というレベルの、より入門クラスの分科会にする
 2) 2周目の内容をもう1周する
 3) 各章をより深堀したディスカッションが行える分科会にする
検討を重ねた結果、2周目の途中から参加したメンバーも多く、また復習もしたいという意見もあったため「2) 2周目の内容をもう1周する」に決定した。2020年7月に3周目のキックオフを行い、今月2020年9月から各章の勉強会を再開する。

今がチャンス!?

これからDMBOKを勉強したいという方、今まさに3周目が始まろうとしているので、今がチャンスと言える。リモート接続のみの開催となったので、ある意味参加しやすいのではないかと思われる。これを機にDAMA日本支部の会員になり、第9分科会に参加してみては?

新分科会について

新分科会として「 データ管理って何?というレベルの、より入門クラスの分科会 」と「各章をより深堀したディスカッションが行える分科会」の要望がなくなったわけではない。会員の方で我こそはと思う方は、分科会リーダーとなり、新たな分科会を開始してみるのも良いと思われる。

== おことわり ==
第9分科会の資料だけいただけないか?という問い合わせをいただくことがありますが、説明資料は著作物の引用が多い関係で配布できませんのでご了承ください。